top of page
検索
  • 執筆者の写真井上大辅

テアトロゲキジョウシアター

更新日:2020年10月29日

またまた嫌なこと聞いてしまったな。

近頃のニュースはそんなことばかりだから、またまた、だ。

体調不良で辞任なさると言うあの人に向けられる記者からの質問は、あらかじめ打ち合わせ済みのもので、なおかつプロンプターが無いと回答できない。それじゃ疑惑は拭えない。

その後を引き継ぐかもしれない人は、都合の悪い質問をする記者は徹底的にはね除ける。無視する。あしらう。

そんな人たちにはね除けられた記者は「まるでどこかの劇団のようですけど」と言う。

前々回の都知事選の時も同じようなことがあった。

思いがけない立候補や他の立候補者を罵るような演説手法に「劇場型選挙」だって騒いでいたな。

政治家とそれを取り巻くマスコミって、

「劇団」=台本を覚えてその通りに喋り、予想外の出来事を望まない集団

「劇場」=ドタバタとエキサイティングで、予想外の出来事が起こる場所

とでも思っているのかな?めちゃくちゃだ。

劇場が、あんたたちに何をした?

劇場で、あんたたちは何をした?


劇場の本質は、そこで行われる催しを通じて、知性や感性をエクスチェンジし、そこで生ずるコミュニケーションから生を体感し、糧としていく場所だ。

人間は野生では生きられない。なぜ生まれたのか?なぜ生きているのか?と、生とは何かを考えてしまう生き物だ。

それらの問いを言葉や身体で表現し、鑑賞体験する場所が劇場だ。


劇団は、長期間の稽古をしながら、各出演者・各スタッフとやりとり、広報もして、本番では当然ミスやトラブルもあるけど、それすらも上演の中でちゃんと回収する。

そして、上演したものは、厳しい目にも温かい目にも晒される。

観客という第三者がいなければ成立しない上演は、決して予定調和ではできないし、まして政治家のように都合の悪い人間を除け者にするようなことはしない。してはいけない。

とりわけ、現在の劇団や芸術団体の置かれている状況は本当に厳しく、どうすれば活動を存続させていけるか、とても苦しんでいる。

安倍や菅のような連中のマスコミへの対応を「劇団のようだ」と言って、批判した気になってる記者は、劇団・芸術団体に無礼。

あの人たちと一緒にされたくない。


マスコミには「劇場型」「劇団のよう」などの、芸術文化の言葉を安易に扱ってほしくない。

リベラルとか保守とかマスコミそれぞれの立ち位置を主張するが、そんなことよりも、あんた達のその言葉の使い方は絶対に間違っている、と言いたい。

昨今、言葉が軽視されてきたと思わざる得ない。

マスコミと政治によって、劇場という場所の本質が非常に軽薄なものにされてしまってきたなと思う。そして、それが日本の教育の質にも直接的に繋がっている。

上演する側のお前達の不甲斐なさも問題だろって?

私たちは公演のたびに(ただでさえ消費税も上がっている中で)、人々が一生懸命働いて稼いだその大事なお金を、どうすれば私たちの舞台に使ってもらえるかを考えている。

それにはそれだけのクオリティのものを上演しなければと、当然考えている。

私なんか権威もないただのダンサー。

ただのダンサーでも分かるような、簡単な失敗やってんじゃねーよ。

愚鈍なあんたたちのおかげで、芸術の必要性を再認識している。それは感謝しとく。

ツーカンしているよ。サンザン、ツーカンしてきたよ。

こっちの邪魔すんな。


ゲキジョウを怒りと感謝で満たしたい。

最新記事

すべて表示

この季節の私のイメージは、夏休みと敗戦。甲子園なんかも風物詩だが、私には試合を中断して行われる黙祷の方が印象深く、結局は戦争にイメージが結びつく。甲子園で鳴るサイレンに、私は空襲警報を重ねる。 高校1年生の8月だったか、新宿のスペース・ゼロという劇場で公演する機会があった。私は演劇部だった。 本番は無事に終わり、観に来てくれた演劇部OBの先輩が、新宿のどっかにある小さな天ぷら屋を探してきて、食事に

子どもと生活していると、いろんな番組を観る。 covid-19の緊急事態宣言発令下、無観客のNHKホールで、テレビの前の子どもたちに向かって「いつも側にいるよ!」と語りかけていたワンワンに感動したこともあった。 子どもの頃に観たディズニー映画もひと通り観直した。加えて、大人になって観てこなかった作品も観た。 当然、アンパンマンも観ている。やなせたかし先生の絵本もたくさん読んだ。 クレヨンしんちゃん

今月のブログは、The Beatlesを聴きながら書いている。 中学の頃、軟式テニスの幽霊部員だった私は、学校が終わると直帰して昼寝ばかりしていた。昼寝が好きだったわけじゃなく、クソつまらない中学生活から逃げたかった。控えめに言ったとしてもクソがつくほどにつまらない生活から。 ある日、The BeatlesのCDを家の中で見つけてしまった。Help!というアルバムだった。親がロックを聴いてる印象は

bottom of page